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 ● Vol,5 【テスターなんて・・・】

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撮影/豊田直之氏 (ホームページはこちら
 少し真剣に釣りをやると、「テスターになりたい」なんて考える人は多いと思う。 「丹羽さんは日本全国の釣り場にいけて良いですね」とよく言われる。 たしかに釣り人冥利に尽きる仕事だが、みんなが考えているほど楽じゃぁない。
特に大変なのが、季節の変わり目に北から南まで動く事だ。数年前の事だが、鹿児島から山形、山形から対馬、対馬から秋田という スケジュールを経験した。しかも、この時は鹿児島が夏日で山形がこの秋一番の寒さ・・・。こんな事の繰り返しでは身体に良いわけがない。俺としては、南は南、北は北とまとめてくれればいいと思うがそう上手くは行かない。
そして、「ケツカッチン」(終りが決められている事)の仕事も辛い。 俺達の仕事はみんなも知っての通り天候に左右される。でも最終日までには魚を釣らなくてはならない。台風でも来て釣り場に出られなければ気楽だが、時化で良い場所に乗れず風裏で潮も動かないような所でも、どうにか魚を出さなくてはいけない。
よく俺は若いテスターに「チャンとした場所に3回乗ってボツを食ったら次から使ってもらえないぞ」と言っている。ナンダカンダ言っても俺達の仕事は釣ってナンボの世界だから。  
10月の初めにダイワの仕事で「40オーバーの口太と40オーバーの尾長を釣れ」それも伊豆半島で! 口太はまぁどうにかなるにしても尾長は場所が限定される。
初日は勝手知ったる入間の赤島へ。ナライ(北東風)の強風だったがどうにかなるだろうと思ったのが大きな間違い。上に置いてあったクーラーが風で転がり落ちるほどの強風だ。海はと言えば、ムロアジが一日中いて釣りにならない。こんなはずじゃぁなかったのにと思いつつ明日があるから・・・。
次の日も入間に行くことにしたが風が昨日よりもさらに強い。 これはどんな事をしても風裏に入らないと釣りにならないし、赤島方面はどうせムロアジだらけだろうと思い「掛津」に行くことにした。 中木の方を見ると水面が水煙が上がるほどの、大・大・大ナライ。後の壁に着いていれば風は避けれるが、一歩前へ出ると横からシブキが・・・
竿を持っているのもやっと状態の中、11時までガンバッテ小ナガ?が一匹。釣れない時の俺の得意の釣法は「海全面コマセ」。 この後47cmの口太を出して仕事は終った。
今回はたまたま上手く行ったがいつもいつもこうは行かない。テスターなんていい事ばかりじゃぁないぞ。年間200日の釣りは結構ハードだ。 ちなみに俺の10月のスケジュールは・・・

   【取材時のタックル】
・竿/オレガ一徹LS-V口太スペシャル
・リール/トーナメントZ口太スプール
・道糸/アストロングレイトNT口太スペシャル
・ハリス/タフロングレイトNT1.75号
・ハリ/ひねくれグレ6号
・ウキ/丹羽ウキL-B

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